エッセイ「ギュッ!な物語」

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ギュッ!な物語 Hugしたくなったその瞬間

Story. 011 石切の心象風景「アメリ」

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 水面に向かって石を投げ、水切り遊びは多くの人が経験されているのではないでしょうか。その光景が何ともいえない心象風景と重ねて描かれているのがフランス映画「アメリ」です。
 両親の性格と教育のせいで、周りにこころを開けないまま育ったアメリ。彼女はモンマルトルのカフェで孤独に働いています。
 ある日、ひょんなことからアパートの部屋で、前にその部屋に住んでいたい人の宝箱を見つけてしまいます。彼女は思い切って持ち主を捜し出し、それを届けます。もちろん、持ち主は大喜び。この体験を通してはじめてアメリは人の喜ばれるという楽しみを知ります。まるで今まで自らの殻に閉じこもっていたのがウソのように。
 そんな中、アメリは捨てられた証明写真をコレクションする一風変わったニノという青年に出逢います。
 けっきょくアメリはこのニノとハッピーエンドに終わるというシンプルなストーリーなんですが、そのラストシーンがまたとびっきり良いんですよ。観る者をここまでいっしょにハッピーにしてくれる映画ってそう多くはないんじゃないでしょうか。
 スクーターに二人乗りして巴里のまち中を走り回るアメリとニノの笑顔がもう最高なんです。無邪気なんですよ、ずごく。そんな二人をいっしょにギュッと抱きしめたくなってしまうのです。
 さらに大団円にはこの映画を貫く印象的なカットが入ります。二人が結ばれたあとに路の壁に書かれた落書きを映し出すのですが、そこにはこんな言葉が書かれています。
「キミがいないとぼくのこころは抜け殻さ」。
 実はこの文章、物語の途中アメリが父親を探しに行くシーンで、彼女が電車の中で読んでいる本で見つけた一節なのです。あ〜 なるほど、このキーセンテンスはこの映画すべての伏線だったんですね。
 そうそう、この映画ではアメリの部屋のインテリアが何とも素敵に描かれています。ベッドルームの真っ赤な壁に掛けられた絵画の一枚一枚を丁寧に深くみてくださいね。

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