エッセイ「ギュッ!な物語」

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ギュッ!な物語 Hugしたくなったその瞬間

Story. 002 愛と孤独と

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 『ブラームスはお好き?』 『ある微笑』 『厚化粧の女』 『夏に抱かれて』 『草の中のピアノ』 第二次世界大戦後の若者の心をとらえ続けたフランソワーズ・サガン(1935-2004)は、日本にもひじょうにファンが多いフランスの女流作家です。その作品の多くは映画化もされていますが、ご覧になったことはありますか。

 そんな彼女にはあまり読まれていない『愛と同じくらい孤独』というインタビュー集があります。子どものころから処女作『悲しみよこんにちは』を出版するまで、そうして結婚、離婚を繰り返しながらも次々と新作を世に問う、そのこころの内を語り尽くしています。

「愛はだいたいの場合戦争です。お互いに相手をとらえようとする戦いです。ですから犠牲も出るわけです」

「愛するということはただ〈大好き〉ということだけではありません。特に理解することです。理解することとは、見逃すこと・・・」

「わたしは七年以上続いた恋愛はしたことがありません」

これらの言葉の裏側には、後ろ向きと云うよりもむしろナイーブで傷つきやすい彼女のもう一つの顔が見え隠れします。そうです、傷つく前に先回りして語る、そういう彼女の態度です。

「10歳に戻りたいです。大人でありたくないのです」 
「わたしは孤独が好きです」 

そう云いながらもこんな言葉ももらすのです。

「人を愛することは、その人の幸せを愛することでもあるのです」

 傷つきやすいカゲロウのようなサガン。それでも恋をし続け、また深く傷ついていく。そうしてそこから逃れるために、細い糸のような言葉で物語を紡いでいく。そんなサガンをギュッと抱きしめたくなります。


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※『愛と同じくらい孤独』は新潮文庫で読めます。また『悲しみよこんにちは』は、サイモン&ガーファンクルにも多大な影響を及ぼしたといわれています。

平野雅彦プロフィール

図書館や博物館の立ち上げ、ブックアートギャラリーの企画・運営、出版、企業のキャンペーンやキャラクターデザイン、ブランディングなどの企画に参画。講座・講演、各種審査員多数。テレビやラジオのコメンテーター、本の紹介番組などにレギュラー出演。日本新聞協会賞、ACC賞など広告賞多数。国立大学法人静岡大学人文学部非常勤講師。

http://www.hirano-
masahiko.com/

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